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今夏こそ!
「今年の夏こそ絶対に、超カワイイ彼女作ってムフフな夏休みを過ごしてやる!」
『お前、それ毎年言ってるぞ』
俺に彼女が出来ない…その元凶であるコイツが笑う。
「丈瑠!お前のせーだろうが!」
『俺は何もしたことねーぞ?』
「どいつもこいつも…何でお前ばっかなんだよ!」
『ははっ、俺がイケメンなのが罪か?』
そうだ…幼馴染のお前がイケメン過ぎるから。俺に近づいてくる奴はみんな丈瑠狙いだ。
俺だってそこそこイケメンなのに…
「そーだよ、丈瑠がイケメン過ぎんのが悪い」
『凛も…そう思うか?俺はイケメンか?』
「はぁ?丈瑠はマジムカつくぐらいクソイケメンだよ!」
『ふふ、そうか?まぁ、今年の夏休みも俺で我慢しとけ。どこでも付き合ってやる』
まぁ、丈瑠と連むのは楽しいし気が楽だし…ずっと一緒に育ったから。
お互い一人っ子で、家族ぐるみでの付き合いだ。たまにどっちがどっちの子供か分かんなくなるぐらい一緒にいた。
イケメンでバスケ部のエースで…開校以来の秀才と言われ、モテないはずはない。
俺だってそこそこイケメンで陸上部のエースで…頭は…真ん中ぐらいだけど。
丈瑠は人を寄せ付けないオーラが出てる…俺以外には男女共に冷たい態度だ。それがまたモテる要素になるから不思議だ。
俺なんていつでもウエルカム…オープンアームズしてるのに。
稀に俺に告ってくれる子もいるが、結局丈瑠の魅力に吸い寄せられてしまう。
【ごめんなさい、私…丈瑠くんの事好きになっちゃったから別れて?】
何度聞いただろう、このセリフ…だけど、丈瑠は絶対に受け入れない。
だから憎めないし、ずっと友達でいられる。
一度だけ言ったんだ。
気に入ったなら、俺に遠慮せず付き合えよ…?
そしたら…
俺には必要ないから…凛がいればいいって言ったんだ。
今だに意味はわからない。
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