まるで少女漫画のような

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 瑠香は学校が終わると、友達への挨拶もそこそこに、自宅に急いで帰るようになった。  はじめのうちは、これまでのように友達がカラオケやゲームセンターに誘ってくることもあったが、それを鼻で笑って一蹴するのを繰り返すうち、声も掛けられなくなった。  でもそれでいい。  あたしはもう、あんたたちとはランクが違うんだから。  踊るような足取りで、新しい我が家に帰り着いた。今日は、皐月が気に入っているバンドの曲を一緒に聴こうと誘ってくれている。同級生のヘタクソなカラオケなんか付き合っていられない。  家には既に皐月がいて、出迎えてくれた。もう制服から着替えている。  瑠香は息を弾ませて靴を脱ぎ散らかし、 「ただいま。お兄ちゃん、早いね」  皐月はにこりと笑顔を見せた。 「瑠香に会うのが待ちきれなくて。――早く着替えておいで」  瑠香は頷いて、自分の部屋へと駆け上がった。  もう、間違いない。好きでもない女の子に、あんなこと言う?大体、もう兄妹なんだから、お世辞言う必要なんてないし!本心で言ってるんだ。  鼻歌を歌いながら、着替える服を選ぶ。自分を一番引き立ててくれる服……クローゼットの中で一番露出が多めの服にした。着替えて、姿見の前でチェックする。  うん、可愛い。  男は何だかんだ言って、ぽっちゃりの方がいいって言うし。お兄ちゃんだって、だからあたしのこと気に入ってるんだ、きっと。  鏡の中の自分は自信に満ちてキラキラしていた。そうだ、もっと可愛くなるためにカラコン買おうかな。なんなら、お兄ちゃんが付けたらいいよって買ってくれるかも。  瑠香は上目遣いの練習をしてから、皐月の部屋に向かった。
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