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今日の予報は曇りのち雨。
外を出ると薄暗い空が浮かんでいる。
どんよりした空気が、とても心地よく感じる。
きっと今日も彼女に会える。
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彼女を初めて見たのは、1ヶ月前の雨の日だった。
その日は、朝から降り続けている雨に、気持ちも沈み、より仕事へのやる気が失せていた。
もともとやる気なんて、どこにも持ち合わせていないのに、そこからにさらに削られたらもはやマイナスだ。
そんなことを考えながら、仕事をするものだから、ミスも多い。
上司にも同僚にも空気のような扱い。マスク生活になってからは、普段でさえ通りにくい声がさらに聞こえにくいらしく、挨拶を返されないことも多くなってきた。
今更なにかを変えようとは思っていない。
変えようとしたところで、なにも変わらないからだ。
ただ淡々と生きるために働いて、生きるためになんとなくご飯を食べる。
楽しいなんていう感情、もうどこかにいってしまっていた。
そんな日が続く、ある雨の日だった。
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