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根本くんの顔は青くなったり赤くなったりを繰り返した。小声で、山下さんはそんなんじゃない、と反論するも、説得力に欠けている。好きな子くらい名前で呼べばいいのに。ひそかに感心していると、根本くんが探りを入れるような視線をよこした。
「……立花さんって、だれにでもそうなの」
どういう意味かと首を傾げたが、根本くんは言葉に迷って答えかねているようだった。代わりにいいよ、付き合うよと言った。
「でも、先に図書館寄らせてくれる?」
わたしはうなずいて、図書館までの道のりを、先に立って歩いた。自分で誘っておきながら、根本くんが何を思って付き合うと言ってくれたのか、まるでわからない。目を閉じるとよみがえってくる、お祖母ちゃんちで聞いた蝉の声が、警鐘のように頭にわんわん響いた。
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