料理は出来るんだ。

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料理は出来るんだ。

「…これは、なんだ?」 ボウルや計量カップの散乱する汚れたキッチンにの棚に置かれている、卵料理であろう焦げの多く混ざった黄色い何かが乗せられた元は白かったであろうお皿。 それらを見て綺月は怪訝に思う。 「……ごめんなさい」 申し訳なさから、縮こまって綺月の様子を伺う揺は、キッチンそばの床で膝を抱えて座っていた。 「どうした、怪我でもしたか?どこが痛い、言ってみろ。切ったか?それとも火傷したか?」 綺月の声色と表情から素直に心配していると言うことが分かり、揺は申し訳なさに俯く。 揺がこんなことになった理由は、一時間半前に遡る。 綺月にかかってきた一本の電話により、綺月は舌打ちを一つして眉間に皺を寄せた。 そして、「一時間だけ、仕事をしに行ってくる。待っていてほしい」と言って準備をし、家を出ていったのだ。 揺はその間、ご飯でも作って待っていようとキッチンに立った。 揺は一人暮らしをしている身として、家事はできた。 お米を洗剤で洗うなんてことは一度もしたことがなかった。 が、料理という料理をした事がないことに気づいたためスマホで検索をしてオムライスを作ろうとした。 そして、今に至る。 怪我は一切していないが、キッチンと作った料理が悲惨なことになってしまっているのだ。
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