腰痛すぎ。

1/1
前へ
/65ページ
次へ

腰痛すぎ。

目を覚まし、肌寒さにより寝返りをうとうとするが、でかい何かによって動けずに居る。 漆黒色に、消炭色。 2色という色の少ない部屋を、横になったままぼーっと眺めていた。 「胡粉色(ごふんいろ)の家具を置けば映そうなのに」 「そうか。なら買いにでも行くか」 ふと呟いた掠れた声の独り言に、言葉が返ってくるなんて誰が思うだろうか。 揺は驚きを隠せず体に力が入る。 力が入った時、違和感を覚えていたお尻が傷んだ。 揺は痛みにより手で口を抑えながら我慢した。 目に涙をうかべてしまったのは仕方がない。 「おい、安静にしろ。朝までシたんだから」 大きな手に、腰を優しく撫でられる。 いや、さすられるの方が正しいだろうか。 胸元に寄せられ、抱きしめられながらさすられていると気持ちよくなり、揺はもう一度眠りに落ちた。 「…あ、閻魔じゃないって言い忘れたな。」
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

119人が本棚に入れています
本棚に追加