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「わ!こんなに開いてる。もう、すぐ噛んじゃうんだから。自分磨きの方はいつも一ヶ月もたないね。」
しょうちゃんのママがそう言って私をゴミ箱に捨てた。妹に『先にいくね。』と声をかける。本当はもっと成長を見守っていたいけれど、毛先がこんなに開いてしまっては役割を果たすことが出来ない。それが私達歯ブラシの宿命だ。
───歯磨き頑張って虫歯にならないでね。
大きくなったしょうちゃんがキラリと光る白い歯を見せて笑うところを思い浮かべながら紙くずの上で静かに目を閉じた。短かったけれど幸せな一生だった。
───『白を守る姉妹』 完───
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