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ーー桜満開の並木道を自転車で通る。
新生活が始まる高揚感に包まれていた俺の今のカラオケの十八番は森高千里の気分爽快だ。もちろん未成年だから酒は飲まない。
割と流行りの音楽よりも少し年上の先輩達が好んでいた歌や歌謡曲を好んでたりする。
親友は流行りの歌や洋楽オンリーの、かっこつけた奴だ。
近々家に偵察に来ると言っていたな、まずい色々隠さねば。
自宅から自転車で二十分もかからない場所に位置する、目的地が見えてきた。俺ぐらいの歳の奴や中学卒業したてであろう坊主姿の初々しい男子が続々と門を開く。目が合うと闘志むき出しで無視される。
(な、何おぅ…っ!)
本音を言えば、中学卒業と同時にこの門をくぐりたかった。
頼むから普通科の高校を卒業してくれ、と母さんに泣きつかれなんとか無事に卒業することができた。
父の度重なる転勤に嫌気が差した俺は、昔からの夢であるプロの料理人への道に進む決意を固めた。
夢ぐらいは自分で決めさせてくれーー
家庭を顧みない父さんに反抗した、あの日を境に俺は誰もが手を付けられない不良にーーはならなかったが悪友達につられ夜の街を彷徨い続けた中学時代。
あの頃とは違う。俺自身で決めた夢の幕開けだ。
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