朝はまた来る③

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ドンッドンッ!! 絶えず玄関の扉を叩く音。うるさいハエが…と呟く大志。 遠子は怯えながらも鎖を外す鍵の在り処を探す。 大志のスカジャンの左ポケット。ポケットに手を伸ばす方法はないのか。 (遠野くん……。) 地下室内に暖房はなく、ひんやりとした空気に包まれている。遠子は息を呑む。 空間に負けてしまいそうだ。祈るように助けを待つ“かよわき乙女”だと同級生等に罵倒された過去が蘇る。 「…うるさいハエは叩かなければな。」 遠子の頭を触り、人差し指で遠子の胸の谷間をなぞる。 「…い、いや……っ」 重い地下室の扉を開け、大志はうるさいハエを叩き落としに行く。その背中に父の面影はなかった。
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