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「遠野…くん」
ーー光の先に、両手を鎖で繋がれた遠子がいた。
無機質な空間。小屋で拉致された忌々しい記憶が蘇るーー
「遠…子」
「遠子ちゃん!!」
すぐに駆け寄って鎖を外そうとする聖。遠子は何度泣いたのかわからないぐらいに涙が溢れていた。
「遠子!!もう大丈夫だからな…!!」
持っていた、中学の頃から使用している青地のハンカチで遠子の涙を拭う。
ボロボロのハンカチに相沢の目が光る。
物持ちが良すぎるねあんた、なんて吹き出しが見えるぐらいだ。この物語は小説だ。
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