13人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、雨、今日一日降り続けるのかな」
「そうだろうな」
俺は由加里にぶっきらぼうに答える。そして、この言葉は肯定でなく俺の願望だと、心のどこか奥底で意識する。
このままずっとずっと雨だと良い。
なぜなら
このままずっとずっと君を独占できるから。
俺は怖い。
たとえ手を繋いで、腕を組んで、外に出ても、いつか君が俺の手をすり抜けて何処かに去ってしまいそうで。安心できない。
こうして肌を合わせていないと。
君が俺のそばにいるのだと、無理矢理にでも体感しないと。
君に無理矢理にでも体感させないと。
俺の熱を君に擦り込まないと。
君の熱を俺は吸い取らないと。
だけどいつか雨は止むものだ。
たとえ、絹糸のような細い無数の水の線が天から落ちてくる様子が、俺の窓越しの視界を覆っていても。
最初のコメントを投稿しよう!