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Prologue 𓇼𓆉𓂃 𓈒𓏸◌
──夏が来た。
夏が来た瞬間というのは、あると思う。
例えば、エアコンの音がなったとき。
例えば、冷たく冷えるアイスを食べたとき。
例えば、セミの鳴き声を聞いたとき。
例えば、単なる日常の一部を過ごしていたとき。
例えば、それが恋の始まりと重なったとき。
それは、アイスの溶ける様子だったり。
それは、氷に耳を当て、氷が微かな音を立てながら溶けていく様子だったり。
それは、部活で汗をかいて、水を飲み干したり。
それは、日焼け止めの香りが鼻をくすぐったり。
ああ、夏が来た。
そう感じる。
そう感じるのを、僕らはこう呼ぶことにしている。
──”開夏宣言”。
──今年の夏は、何が連れてくだろうか?
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