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子供の為に色々必要なものが出てきて、金子が少なくなったので加代に告げると、
「お前様が婿に入り子供も生まれました。あなたは金窪の家の人間として充分な役割を果たして下さいました」
言いおいて加代は意を決するように口を開く。
「お話致しましょう。金窪の家の秘密とその使命を」
三
加代の話はこうだ。金窪家は、戦国時代安房の領主だった里見家同様に清和源氏の流れを汲んでいるのだそうだ。
里見家がまだ新田姓を名乗り上野の国里見郷に居た頃から家臣として仕えていたらしい。里見家が安房から伯耆の国に移封と決まり、いつの日かの御家再興の為にと代々蓄えてきた家宝や黄金を鴨川周辺に埋蔵した。
金窪家は主君の命により鴨川に土着し、埋宝守護の任に当たることとなった。時は流れ、埋蔵の事実を知るものは今や金窪の家ただ一軒のみ。愚直に主君の命を今日まで守り、そしてこれからも守っていくことが金窪の家に生まれた者の宿命であると。
キツネにつままれた様な話を聞き終えて銀造は聞き返す。
「そうしてお前の家の者達はここから離れることなく暮らしてきたのか」
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