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「その通りです。埋宝を守る為の生活に必要な金子(きんす)分の使用は許されております。ですから私達はここで暮らしていけたのです。」
銀造にもそれでやっと何故この家が多額の金を持っているかの合点がいった。恐らく取り出した黄金を、父が東京かどこかに持っていき換金していたに違いない。
しかしまだ話を鵜呑みには出来ない。
「証拠はあるのか」
加代は屋根裏から桐で出来た立派な箱を取り出し、中を開けた。
箱の中には金窪家の家系図と何やら古めかしい文章を書いた古記録、そして埋蔵場所を記した絵図面があった。絵図面には埋蔵場所として五箇所に記しが付いていた。
一通り見た銀造はそれでも、
「これだけでは何とも……」
中々信じようとしない銀造に痺れを切らしたのか、
「判りました」
言うや、台所の竈に行き中に手を突っ込んだ。暫く奥の方をガサガサしていたが、やがて二本程の細い炭木の様な物を取り出す。横に置いてあった水桶の水の中にそれを入れて念入りに洗う。布巾で拭き銀造の前に置いた。
「これで信じて頂けますか」
銀造は心臓が止まるかと思うほど驚いた。
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