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「妹さんに、会えますか?」
「今、近くのカフェでアルバイトをしてます。もうすぐ戻ってくると思います」
将大が弾みをつけて立ち上がった。
「そしたら、俺らもさくっとランチ行かして貰いますわ。先輩、お昼は?」
この年上の幼馴染は、どんな時でもマイペースだ。
「もう済ませたから」
部屋を出てゆく私たちを追いかけ、継実が口を開いた。
「妹は今、深い混乱の中にいます。僕は何としても転勤の前に、妹を安心させてやりたい。……このまま母と二人、この古い家に残していくのが忍びなくて」
継実の切羽詰まった眼差しを受け止め、頷いた。
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