家庭教師をメスにするのが俺の夢

9/54
前へ
/54ページ
次へ
それからはまた暫く普通の生徒を演じた。 「だいぶ、良くなったね!次のテストは期待出来るんじゃないかな?」 「え!ほんと?そしたらご褒美ある?!」 「こないだみたいなご褒美は嫌だよ?何がいい?」 俺は悩むふりをして言った。 「だってそれが一番のやる気になるんだもんなぁ、先生だって前の奇跡を見たでしょ?俺のやる気は先生にかかっている!」 「不純な動機だなぁ。」 「でも成績上がればうちの親だって喜ぶし、時給だって上がるかもだよ?俺は先生に彼氏がいる事は知ってるし、絶対そんなやましい気持ちもなければ、そんな事もしない。だから!ご褒美お願いします!」 俺は頭を下げた。 「ん、、まぁいやらしい事じゃなければ、、いい、かな?」 「やったね!よし!やる気わいてきた!」 「先生!もう終わりでしょう?一緒に夕食食べて行ってよ!今日は天ぷら!」 一階から母親の声がした。 その頃には家庭教師がくる度に夕食を囲んで帰宅する様になっていた。 少しずつだが成績が良くなっているという事実に両親も信頼を寄せているようだった。 「いつもすみません。ご馳走になります。」 初めの方は遠慮していたが、強引な母に根負けして彼女は毎回席につくようになった。 「いや、もう、先生には感謝してるんですよ。この子人見知りするから始めは心配してたんですが、先生の教えが凄くいいって言うものだから、、これからもお願いしますね。」 母は茶碗を手に取りご飯をよそいながら言った。 「彼、センスありますから、私で良ければこれからも頑張ります。」 恐縮しながら彼女は茶碗を受けとる。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

437人が本棚に入れています
本棚に追加