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俺には夢があった。
高校生になったら是非とも叶えたい夢が。
中学生では、まだ早い。
小学生なら、早いどころではない。
どうしても高校生で、なおかつ、頭が悪いといけない。
ここでいう頭が悪い、というのは成績の話だが。
そう!俺は念願の高校生になった!
両親が望んでいた偏差値の高い高校である。
偏差値が高い高校でならなかった理由は、偏差値の高い高校に入ると、おのずと偏差値の高い大学に行って欲しいというのが両親というものだ。
だから、俺は中学受験を頑張って、念願の高校に入った訳だ。
勿論俺は元々頭はいい方だったから、そんなに苦労はしなかった。
両親も鼻高々である。
さて、問題はここからだ。
どうやって頭を悪くするか?成績をあえて落として行くか?
とはいえ、名門高校あるあるなのだが、名門であるがゆえ、狭き門、だから合格がゴールだと思っていた秀才が集まる場所。
中学まではお山の大将でいられたものが、名門高校に入ると、自分のちっぽけさを痛感し、急に精根尽き果てる人間も出てくる。
だから急に成績を落としても多少はバレずにすむものだ。
1学年の半分が終わった頃、両親に予想通り指摘を受けた。
偏差値の高い高校に入るという事は、1学年目から、もう次の大学受験へのスタートは始まっているのだ。
だから当然、うちの生徒の9割は学校と並行して進学塾に行っている。
まぁ、これも名門あるあるなのだが。
だから俺の行っている高校ではパリピウェーイ♪みたいなのが殆どいなく、皆戦士の様に参考書片手に歩いている。
まぁだからといってパリピがいない訳でもなく、恋愛をするお年頃なので、それなりにやってる奴等は器用にやっている。
ここで分かれるのが、更に戦う戦士と、燃え尽きてしまった戦士になる。
その中のほんの1割だけが、塾も行かず、高成績を叩き出して、部活動なんかしてスポーツ推薦とか取っちゃう、バケモノの天才は確かにいるのも事実だ。
勉強もある意味才能やセンスはあると思う。
そういう意味では俺は恵まれた脳みそを持っていると言っても過言ではない。
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