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エッチな惑星への序曲《プロローグ》
ヤバい。今、ボクは絶体絶命だ。
リビングで美少女に押し倒され、仰向けに寝転がっていた。まるで媚薬で全身が麻痺してしまったようだ。
下半身が心地よく痺れていく。
「ううゥ……、やめろよ」
なんとか、ボクは美少女から逃れようと懸命に身体を捩った。
「フフゥン、はじめてなんだろう?」
しかし上から目線で美少女は目をギラつかせている。まるで肉食系女子の餌食になったような気分だ。
美少女はボクの下半身に跨がって妖しく微笑んだ。ヤケに思わせぶりな笑顔だ。
「ちょッ、ちょっと待ってよ。アキラ」
ボクは慌てて顔を背けた。
このままだとボクは親友とイケない関係を持ってしまいそうだ。
相手はボクと幼馴染みの同級生で十八歳の男子だ。そう、見た目はキュートな美少女でもボクと同じ男性なのだ。
「良く見ると玉井翔ッて可愛らしい顔してるよな」
美少女はボクの顔を伺うように覗き込んでくる。
「い、いやいや……、そんなことはないよ」
ボクの知っているアキラとはまったく顔が違う。可愛らしい美少女だ。
性別さえも違っている。しかし小悪魔みたいに戯けた表情はそっくりだ。
もちろんアキラなのだから。
「フフゥン、ふたりで良いことしようか?」
美少女は意識的にボクの股間に柔らかな桃尻を押しつけてくるようだ。
「え、ふたりで……」
昂奮で声がかすかに震えてしまった。
「こんなイケメンなのに、なんで童貞なのかな」
「う、うるさいな。退けよ。アキラ。いつまでボクの股間の上に乗っている気だ」
このままだと騎乗位と言う体位だ。思わず童貞のボクは変な気分になりそうだ。
「なに騒いでいるんだよ。玉井ショー。気持ち良いんだろう」
さらにアキラはボクを快感の坩堝へ巻き込むつもりなのか。妖艶に腰をグラインドさせて愉しんでいる。
「あ、ああァ……」電撃のような快感が股間から脳髄へ疾走りぬけていく。パンツの中は漏らしたみたいにびっしょりだ。もはや誤魔化しようがない。
昂奮で心臓は早鐘みたいに胸板を叩いていた。
「やめろってェ……。いいから退け。アキラ!」
必死に首を横に振ったものの、いくら拒否しても下半身は正直に反応してしまう。身体じゅうから汗が滲んでいく。
すでにボクの股間は火がついたように熱く火照ってしまった。
ボクはカーペットの上へ仰向けに寝かされ美少女がボクの股間の上を跨いでいた。
ピーチみたいに甘く蠱惑的なフェロモンがボクの鼻孔をくすぐっていく。
「フフゥン、玉井ショー。キスしたことないんだろう?」
親友のアキラが獲物を狙らう女豹のようにギラリと目を煌めかせた。
「な、なにを言っているんだよ」
甘い吐息がボクの頬を撫でていく。今にもくっつきそうなほど唇を近づけてきた。ぽってりとして肉厚で魅惑的な唇だ。美少女にしては、ヤケに艶めかしい。
「フフゥン、オレが教えてやろうか。キスの仕方を」
「よ、よせよ。お前は親友だろう。ボクはBLの気はないんだって」
必死に顔を背けた。
いくら美少女になったからって、幼馴染みの友達とキスなんか出来ない。
「フフゥン、心配するな。オレに任せておけよ」
美少女のアキラは舌なめずりをしてボクの唇をロックオンだ。豊かで柔らかな胸の膨らみがボクの胸板へ押しつけられた。
「ダメだってェ……」
ボクは必死に拒んでいた。
あの夜、地球に無数の隕石が降り注いだ。
それは『エッチな惑星』へのプロローグだった。
そしてこの惑星は一変した。
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