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生存競争✨✨💕
「雌雄同体ッて、カタツムリかよ」
ついツッコんでしまった。
「ケッケケ、そうだな。カタツムリやナメクジみたいに動きの緩慢まな下等生物は極端にオスとメスの出会う機会が少ないから雌雄同体だって聞いたことがあるよ」
楽しげに説明をして、ボクの胸をバシバシと叩いた。本物の女子だったら嬉しいがアキラだと思うと腹が立つ。
「い、痛いだろォ……。だけど雌雄同体ならメス同士でも交尾できるんじゃないのか」
「さぁな。オレは美少女化してからまだ交尾してないから。取り敢えず、玉井ショーとでも交尾してみるかァ?」
また蒲生アキラは嬉々としてボクに抱きついてきた。
弾みで床へ押し倒された。
「バッバカかァ。痛いだろう。なんだよ。取り敢えずッて」
「悪ィ。よく見ると地味にイケメンじゃん。玉井ショーは」
「ふざけるなよ。いくら可愛くてもアキラと交尾する気はねえェって……」
「フフゥン、なんだよ。オレが優しくリードしてやるからさ。おとなしくしろよ」
戯けてキスを迫ってきた。甘い吐息がボクの頬を撫でていく。
「わァァ、やめろ。頼むから」
なんとかボクは抵抗した。だが、下半身は熱く火照っている。口では拒否しても身体は正直だ。相手は親友のアキラなのに節操のない下半身だ。
「やめろよ。お願いだから」
懸命に泣き喚いた。初体験がアキラなんて考えられない。
「フフ、わかったよ。それよりお土産だよ」
アキラは持ってきたバッグをポーンとボクの胸元へ放ってきた。
「ぬうぅ、なんだよ。これは?」
「ケッケケ、これから玉井ショーの必需品だよ」
ウインクをして笑った。
「えッ、必需品?」なんだろう。
中身を開けてみると、女装用のコスチュームだ。
「なんだよ。これは?」ウィッグやワンピースなどが入っていた。
「それで変装しろよ。男の格好で外へ出たら美少女たちに拉致られるぞ」
「え、拉致られるゥ……?」
「暴徒化してるんだよ。みんな美少女化して生物学的な男が極端に少なくなったからな。お前が男だとバレたら間違いなくどこかに監禁されるぞ」
「ええェッ、監禁?」
想像しただけでゾッとした。
「ああァ、捕まったら最後、死ぬまで奉仕させられるからな」
「まさか」
「信じられねえェだろうが。すべての生物は自分の遺伝子を残すための生存競争なんだぜ」
「そりゃァ、そうかもしれないけど」
このままならボクは一生隠れて女装をしないと外へも行けないのだろうか。
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