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 久しぶりに大学へ登校すると、周りは見たこともない美少女ばかりだった。  名前と顔がまったく一致しない。妙な気分だ。落ち着かない。隕石が降った前とは劇的に様変わりした。  なんとも言えない甘い香りがボクの鼻孔をくすぐっていく。匂いを嗅いでいるだけで胸がドキドキしてきそうだ。  しかもボクは女装し、彼女らに男だという事がバレないようにしなくてはならない。  今大学で女子たちに女装がバレれば逃げようがないだろう。下手をすれば美少女たちに拉致されて監禁されるかもしれない。  最悪、死ぬまで奉仕させられるだろう。 「よォ、キミ、玉井翔だったな?」  派手な金髪の美少女らがボクに話しかけてきた。(あで)やかな恰好だ。今にもオッパイがこぼれ落ちそうだ。  香水なのか、目眩(めまい)がするほど甘美で蠱惑的(こわくてき)な匂いが鼻孔をくすぐっていく。 「ああァ……、どうも」  あまりジロジロ見られると女装がバレそうだ。適当に相槌をうった。  そんなボクを案じてアキラが身辺をガードしてくれた。 「玉井(タマ)ショーだよ。コイツは」 「おいおい、アキラ」  頼むから女装してるボクをタマショーと呼ぶなよ。 「ケッケケ、安心しろよ。玉井(タマ)ショー。オレが守ってやるからな」  馴れなれしく肩を抱きしめ、ボクの耳元で囁きかけた。  何かを(たくら)むような眼差しで妖しく目を光らせ微笑んだ。 「ジョークだろう。ミイラ取りがミイラになるなよ」  初めてのエッチが親友のアキラとなんて、考えただけでも鳥肌がたってきそうだ。  こうして隕石が降り注いだあの夜から世界は一変した。  否応なしにボクたちは、この美少女だけの世界に馴染むしかなさそうだ。  進化論の示す通り、環境に適応できる生物(もの)だけが生き残れるのだから。  しかし男性が美少女化した事で世界は劇的に変わっていった。  東西の敵対関係が激化し、最終戦争寸前だった各国の首脳らが相次いで美少女化した事で緊張状態が瓦解したようだ。  怖持(こわも)ての独裁者も美少女化したため威厳が保てなくなったのか。激化の一途を辿っていた紛争も即時停戦した。  勿怪(もっけ)の幸いだ。  ()って()いたような幸運(ラッキー)と言って良きかもしれない。  隕石(いんせき)によって世界に平和が訪れた。  
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