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どうやら犯人は、あのあくのだいまおうに似た、例の怪しげな雰囲気を醸し出す紳士の仕業だったらしい。これだけの茶葉をそろえているあたり、かなりの紅茶好きのようだ。
「えっと……何にします?」
「……ではダージリンをいただこう」
「お砂糖は?」
「テーブルに置いておいてくれ、自分で入れる」
ダージリンの茶葉と簡易ポットを取り出し、水道からポットに水を灌ぐ。
簡易ポッドとはいえ、常温の水道水が沸騰するまではやはり数分かかる。その間にティーカップを二人分用意し、数十本のシュガーと角砂糖数十個を別容器に入れてテーブルの上に置いた。
自分はとりあえずストレートだ。
「して……聞きたいこととは?」
自分も席に着くと、エルシアは肘をテーブルに置き、その真っすぐな視線をこちらに向けてきた。
聞きたいことは大まかに二つ。中威区東部の時世や、東支部の実情である。どちらも久三男や弥平に聞けば分かることではあるが、あまり彼らに頼ってばかりにはいられない。
なにより現地人とコミュニケーションを取らないのでは、人間関係の輪はいつまで経っても広がらない。無理に広げる必要はないにせよ、ギクシャクしない程度の関係や常識は備えておきたいところだ。
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