メイドの談話

14/14
前へ
/265ページ
次へ
「そうか……」  黙して聞いていたエルシアは、自分が発した言の葉を咀嚼するように何度も頷く。その表情には、既に澄男(すみお)に対する疑念はどこにも垣間見れなかった。 「君の言う主人の人柄……此度の戦いで垣間見れたなら、幸いだな」  ティーカップを静かにテーブルに置き、椅子から立ち上がる。そろそろ時間だ、そう一言だけ告げるとエルシアは部屋を後にする。  エルシアが部屋を去った後、底に溜まった茶渋をぼうっと眺めながら苦笑い気味に一息つく。  日頃素行が悪く、気怠そうにしながらも仲間内で話す際は屈託のない笑顔を絶やさない澄男(すみお)を空に描きながら、明日以降にとりうる彼の素行を予想する。  それから二時間後。空腹で目が覚めたのか半分寝ぼけた澄男(すみお)が部屋から出てきたのを察知し、部屋を出る。東支部のロビーでイラとともに作業していたであろうブルーを迎えに行っていたレク・ホーランとも合流し、つつがなく夕食を食べ、その日を終えることとなった。
/265ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加