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その空間は紛れもない、何者の反論も許さない完全なる和室であった。
床は埃や綻び一つない全面畳敷き、所々丁寧に張られた障子から、竜やら虎やらが彫られた豪奢な襖まで、その部屋の持ち主の威勢を物語る。
部屋の最奥には神棚があり、どこからか水を供給しているのか、神棚に安置されているししおどしが、水を目一杯蓄えるたびに風流な音色を部屋中に奏でる。
万人が旅の疲れを癒すに是非もない立派な和室なのだが、此度は事情が違った。本来部屋を形作っているはずの雰囲気とは裏腹に、室内の雰囲気は緊迫感に縛られていたのだ。
畳敷きの大広間に集められた六人の少女。和風の大机の中心には茶菓子、そして六人各々に一人ずつ茶碗が置かれる。六人の少女の中で上座に座る女子は、茶碗に注がれた緑茶を口に含み、静かに机に置いた。
「今回、皆を呼び出したのは他でもない。最近、東支部周辺の中小暴閥及びギャングスターの活動が活発となっている件だ」
真剣な面差しながらも、机の中央にある茶菓子に手をかける。その女子は全身真っ白な道着に身を包み、目尻は高く吊り上がっている。側から見れば睨んでいるのではないかと誤解されそうなほどの眼力を感じさせる彼女は、視線をレモン色のショートヘアをした女子に向けた。
「報告するぜ! おそらくだが、軍事行動を起こそうとしてやがる。それも結構大規模な奴をな!」
レモン色のショートヘアを靡かせて、茶碗に注がれた緑茶を一気に煽る。ぷっはー、と酒でも飲んでいるのかと思わせるほどの豪快な飲みっぷりに、上座に座っている道着の女子以外はため息をつく。
「報告内容が曖昧だぞ。大規模と言ったが、具体的にどの程度の規模なのだ?」
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