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緋色の瞳を持つ凛とした女性は得意気に大量のエチケット袋を机に出す。それを見て黒髪の女性は「くっ……屈辱的だ……このような仕打ち……」などと半べそをかいていたが、皆全員どこ吹く風だ。
「あー……じゃー具体的に言いますよ。いースか? 準備おっけースか?」
ウィッパーと呼ばれたレモン色のショートヘアの娘はもうめんどくさいなという感情を顔面に描きつつ、自分でまとめてきたであろう紙の資料を片手に立ち上がる。
「兵力はアタイが把握してる限り五万。中小暴閥の中でも上位に位置する凪上家に集結してるっぽい」
「ちなみに、敵の男女比は」
「ばッ、馬鹿者!! そんな情報、聞く必要は」
「九:一で男っすねー」
「うっ……おぇ!!」
「あー、隊長? 隊長リバース?」
「隊長殿、吐くならこの袋に!!」
畳敷きの大広間に、机の中央に置かれた茶菓子。各々に注がれた緑茶の入った茶碗が置かれた和風の広間に、女性が発してはならない嗚咽がけたたましく響き渡った。
どぼどぼとエチケット袋に形容しがたい液体が注がれる。和風の広間の雰囲気は、隊長と呼ばれた一人の女性によって一気に粉砕された。
「うむ。仲が良いことは良きことだ。本当に」
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