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プロローグ
ある雨の降った日。
君と出会わなければ、これ程までの辛い想いをせずに生きていけたかもしれない。だが、君に出会わなければ、僕は今も凡人のままだっただろう。
あの頃と同じ、雨が降る今日。君の葬儀が行われるのだが、僕は出席することができない。
僕が葬儀に出ることを君は望まない。直接言われたわけではないから確信は持てないが、そんな気がしてしまう。
だから僕は、君と出会った頃のようなこの雨を眺めて、ラストを描き抜こうと思う。それだけが、君と僕の交わった証となるのだから。
「これで最後だよ…美香」
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