【1】あくまでラブコメしたいだけ

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新木先生は「今の内緒だよ」って小さく笑いながら、発券機の前でスマホを操作している。 映画のチケットは、前もって二人分買ってくれているらしい。チケット代は当日渡すと伝えてはいたけど、連絡を取り合っている段階で、すでに断られていた。 「(飲み物代くらいは私が出そう……)」 そんなことを考えながら、発券機からチケットが出てくるのをボーッと眺めていたら、新木先生はそれを取り 「未祐さんは、アプリで会ったのオレで何人目?」 「え?」 突然の質問に目を丸くする私に、はいとチケットを差し出してくれる。 何人目って…… まだアプリも始めて日が浅い。だけど女性って結構マッチングするから……えー、何人だろう。 すでに何人もご飯を食べに行ったりしていたけど、こういうときって正直に答えていいものなのか。 新木先生は気を悪くしたりしないかな……なんて、少し違う気もする。 「先生は何人くらいと会ったんですか?」 「ありがとうございます」とチケットを受け取りながら、逆に質問してみる。 すると彼は、まさか質問を質問で返されると思っていなかったらしく 「えーオレ?そうだな……3人くらい?」 「最近、始めたばっかりですか?」 「いや、同期に誘われて前からやってるけど。ほら、男ってそんな簡単にマッチしないからさ」 「なるほど」 「それにオレ、あまりプロフィールとか明かしてないし。まあ書かなきゃマッチしないよね、そもそも」  
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