230人が本棚に入れています
本棚に追加
/195ページ
そう言って困ったように笑う彼に、私は愛想笑い浮かべてから、足元に視線を落とした。
「(ウソっぽいなあ、今の)」
他の男の人も言ってた。大体みんな3人目とか言うんだ……ほんとかどうか知らないケド。
コンセッションの列に並びながら、そんなことを考える。飲み物、何にしようかな……
私はフードのメニューを眺めながら
「職業、歯医者さんって書かないんですか?そしたら……」
もっと、モテると思うのに。
その言葉は、さすがに言えなかった。
でも、職業で選んでる女の子からすれば、世間一般的にも立派な職業だし、色んな子からメッセージとか来そうだけど……
「医療系って人気だもんね」なんて考えてるあたり、自分は嫌な女だなと再確認する。
すると彼は困ったように頬をかきながら
「初対面で話すようなことじゃないかもだけど」
「はい」
「態度がね、みんなコロッと変わるんだよほんとに。歯科医師って言ったとたん」
「まあ、そうなんですかね……」
「なんていうか、それで色々調べたりする子も実際にいるからさ……めんどくさいじゃん」
そう言った彼の瞳は、すごく冷たい色をしていた。
最初のコメントを投稿しよう!