【1】あくまでラブコメしたいだけ

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「ごめんね」と苦笑いを浮かべる彼を前に、身体が熱くなるのを感じる。 ハッキリと断られたんだ、私。 まだ誘ってもないのに……慣れないことをするんじゃなかったなんて、後悔しても遅い。 「大変ですね〜」なんて、笑ってみせたけどうまく笑えているだろうか。 いや、その前にこの時間からわざわざ職場戻ってシフト作るなんてウソでしょ……そんなの家で作ればいいじゃんか。 断るにしても、もっとマシなウソをついてほしかった。いやウソかどうかは知らないけどさ。 グルグル色んなことを考えながら、人の波に乗って出口へと歩く。 ちっぽけなプライドが、ガラガラと崩れ去っていく気がした。なんだこれ……なんで断られたんだ私。 「でも今日は来てくれてありがとね」 もうすぐ映画館の出口。 締めの会話に入る新木先生の言葉が、周りの喧騒にかき消される。 少し、私は勘違いしていたみたいだ。アプリだからって調子に乗っていたのかもしれない。 女性優位な世界だとは思っていたけど、勘違いも甚だしい。私は選ぶ立場じゃなくて、選ばれる立場だったんだ。 そう、ちゃんと気づけた。だから私は大丈夫、泣くな絶対に。 私の脳内大反省会に気がつかない新木先生は、ヘラヘラと笑っている。 そんな彼に私も笑顔を向けると 「こちらこそありがとうございました。気になってた映画だったので良かったです」 「そっかそっか」 「先生もシフト作り頑張ってください。それじゃあお疲れ様です」 「え、あ、ばいばい……」  
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