230人が本棚に入れています
本棚に追加
/195ページ
私の小さいけど、とてつもなく重い質問に対して、元カレはテレビを観ながら
「お金貯まったら考えてるよ」
「それっていつ?」
「わかんないけど、だから実家帰るんじゃん」
「そしたら今の仕事は?また辞めるの?」
「そうだねえ……遠くなっちゃうから」
「(遠くなっちゃうからってなんだよ)」
「あはは」と笑いながら答える元カレに、そのとき初めてスッと気持ちが冷めた。
ああ、もうムリだ。
この人は一生変わらない。
涙すら出ないし、こんな人のために泣くのはもう嫌だ。私はこのまま後悔したくない。
膝の上の拳をギュッと握りしめると、未だにアホ面でテレビを観ている元カレにニコッと笑いかける。
「そっか、わかった」
そこからは早かった。
本当に、こういうときの女は強い。
私は勝手に新しい家を借り、1ヶ月後には元カレと同棲する家を出た。
「裏切んな」とか「勝手に出て行くヤツに家具は渡さない」とか、色々言われたけど
「とりあえずお金だけは返してくれる?15万」
今思えば、よくやったなってあの時の私を褒めてやりたい。
最初のコメントを投稿しよう!