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秘密
「…母上。僕はどうして学校に行けないのですか?」
今日も今日とて同じ質問を繰り返す。
僕の名前は咲花 凍歌。女の子みたいな名前をしているけど、実際、どちらでもない。つまり性別がないのだ。
いつも、この質問をすると決まってこう答えるのだ。「それは凍歌がきれいすぎるからよ。」きれいと言われるのは嬉しいが、僕には言い訳にしか聞こえない。
でも、今日は違った。
「…もう少しで、もう少しで行けるわ。もちろん普通の人のことは違う学校だけれど…」
「どうしてですか?」
僕は、少し家がお金持ちってだけで普通の人間…のはずだ。ましてや高貴な吸血鬼でもあるまい。
―この世界では吸血鬼はとても高貴な身分とされていて、みな揃って美形なのだ。
逆に、皆に嫌われている死神。死神は、文字通り死をつかさどる神――だとされているが、ホントは違うらしい。母上いわく、だ。
皆、死神に近づくと魂を奪われると勘違いしているようなのだ。
最も、美形なのに代わりはないのだが。
「今日の夕食で、父様も交えて話すわ。かなり重要な話なの。」
なんだろう。実は、とても大きな病気を患っていた、とかではない…よね。
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