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リューク王子の新たな従者、幹きなこ。マリオネットになる前の人生語ります。
小学生の頃のあだ名は『もっちー』
周囲との人間関係も良好で何不自由なく伸び伸びと暮らしてました。
中学生になると鈍臭さからかイジメられっ子に。その時はまだ負けん気が強くて男子のイジメっ子と戦いの日々を送ってました。暗黒時代でした。
高校に進学したと同時にイジメ予防で高校デビューに成功。中学時代のイジメっ子の魔の手を逃れる事が出来ました。
が、デビュー後、私に告白してきた男子2人が2人共ファンがいてファンの子達から恨みを買う事に。女の子の嫉妬程恐いものは無いなと身に沁みました。
なので社会に出る時は大人しく、それはもう大人しくしてました。
なのに、どういう訳から知りませんが、同社内の二世の若社長に見初められ、彼から猛烈なアピールを受けました。
そのせいで仲の良かった女子社員からもハブられ、一時期孤立してしまう事態に。
そういう経緯があったので、会社では空気の様な存在になるよう努めたんです。それがこうじたのか、若社長が取り引き先の令嬢とお見合い結婚を決め、チョッカイをかけられなくなり、一件落着。
私自身は婚期とは縁のないまま生涯を終えました。
うーん。大まかに掻い摘んでお話しましたが、振り返るとすったもんだがあったのか、極一般的な人生だったのか自分でも不明ですね。
☓
異世界転生から2日後。
王室の庭でリューク王子との2人きりのお昼のティータイムに、幼い主から前世を聞かれて思い出を話した幹きなこ。
☓
「きなこがイジメの対象にあった…だと?」
ザワ…とリューク王子は身の毛を逆立てる。
「もう昔の事ですよ」
イジメっ子の行いは一生許せませんが。
きなこの言葉にリューク王子は納得がいかないようだ。
「お前をイジメた者の名前と住所を紙に書きしるせ」
「なんでですか?家訪ねてピンポンダッシュでもする気ですか?」
あくまで前世の話だから出来る訳無いのだけど。
「其奴等を早急に処刑する気に決まってるであろう」
「それはいくらなんでもやり過ぎではないかと」
「お前を無下に扱って良いのは俺だけだ」
自覚あったんだ。私との接し方に。本当に無下に扱われてるからね。
…でも。
「ある意味大事にされてるって事…なんですかね?」
「好きな女がイジメられてと知り激高しない男はいない」
リューク王子の脳裏に蘇るのは、今は亡き王妃から初めてマリオネットを紹介された時。彼女の儚げな美しさにリューク王子はひとめぼれをした。
人形に抱いた叶う筈も無い恋心。
その相手が命を宿した。
王子という位の自分に物怖じしない彼女の内面にも惹かれ、離したくないと思った。
「好きな女…?」
「お前だ馬鹿」
リューク王子は本音を地面に落とす。
その呟きが聞き取れず6歳児から愛の告白を受けてる事にピンときてないきなこを他所に、王子は彼女とのアフタヌーンティーの続きを楽しんだ。
続く。
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