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一国の王、ジュエル・レフレックスが治める領地。
『王家の宝物庫の中から怪しい声が聞こえました』
出入口を警備する兵士から報告を受けたのはドラシス・スコッテイ。
26の若さにして第一騎士団隊長を務める実力者だ。
「前女王陛下の遺品保管室から何者かが押し入った可能性あり」
その一報に母屋で朝食を摂る幼い王子の警護に当たっていた軍服姿のドラシスは離れの屋敷に王子と共に直接赴いた。
「リューク王子様、賊が侵入した恐れがあります。私の背に隠れていて頂けますか?」
「そういうのは嫌いだ」
透き通った肌にショートヘアの髪を一部三編みに結んだ髪型が印象的な6歳にして既に次期王の風格の持ち主であるリューク・レフレックスは形の良い眉を顰めた。
「母君の形見を持ち出そうとした不届き者を見付けたら即刻首を斬り落としてかまわぬ」
王子のお付きの者数人が畏まりつつ青褪める。
ドラシスは頭を下げる。
「申し上げにくいのですが、王宮を盗っ人の血で汚すのはどうかと…」
王子は頷いた。
「なら生き埋めにしろ」
「御意」
惨忍な会話を淡々と交わす。
「で、痴れ者は何処だ」
「それが…」
戸惑いの表情を浮かべる兵士。
「ショーケースの外では無く、その中、内側におりまして…」
王子とドラシスはその現場へと足を速めた。
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