麻雀青春物語【カラスたちの戯れ】一日一度はメンタンピン編

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4話 ◉アガリと志 東1局  まずはジンギ得意の1000点ダマという静かな立ち上がり。 東2局  三色ドラドラの3900をコテツがアガる。     メタに手が入ったのは次の東3局だった。 一二三②③⑦⑧⑨⑨⑨123 ドラは二  ピンフ純チャン三色ドラ1の超弩級テンパイを5巡目に入れる。①はこぼれ落ちるのを待てばいいのでリーチは不用だとしここはダマに構える。すると2巡後。  ツモってきた牌に嫌な指感触を感じる。真ん中だけ余白のあるこのデザインは。 ④だ。 ピンフツモドラ1  ずいぶんと安くなってしまった。これならリーチしておけばよかった。  だが、そこで残念そうにツモアガるようなメタではなかった。 「リーチ!」  そう、ここでこそリーチをかけるのがメンタンピンという男。安目ダマツモをするためにジッとしてたわけじゃないのだ。悔やむアガリを取るより最高打点へ向かってチャレンジする方がいい。  3巡後にコテツから追いかけリーチを受けるがその直後に 「ツモ」  また④だ。しかし、今回はリーチをしているし追いかけリーチも入っているしでこの④はツモアガる。 「メンピンツモドラ…1300.2600」  するとそれを見たジンギが一言。 「高いな」  と満足そうに言う。   「高い…ですか?アガっといてこう言うのもアレですけど、ド安めでしたよ」 「値段のことを言ったんじゃないさ。(こころざし)だよ」 「…こころざし」 「このリーチ宣言牌は超弩級の仕上げをするという固い決意を持っている宣言牌だ。見せてもらったよ髙橋くん。キミのその勝負師としての器をさ」  アガリとは即ち(こころざし)である。  麻雀は理想の志を具現化するゲームと言っていい。だから、プロ意識があればあるほど適当なアガリは見せられない。メタのアガリは一目見た瞬間にわかるアガリだった。この男は高い理想を追い求めるプロ級プレイヤーであると。
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