セイリアスの青天

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 ドォォンッ、ドォォーンッと一定の間隔で、衝撃音と振動がここまで響いてくる。  城門に破城槌(はじょうつい)と呼ばれる攻城兵器(こうじょうへいき)の、金属で補強した先端が、激しく打ちつけられる音だ。    味方は城壁から石や矢を降らせ、応戦しているはずだが、城門の悲鳴は鳴り止む気配がなかった。  昨日まで連日、長時間に渡る軍事会議が開かれていた、玉座の間。 そのバルコニーへ出て、王家の紋章の装飾がほどこされた鎧姿のレオンは、城門の方を望む。 (これまで、か……)  地上で血を流し争う者たちを余所(よそ)に、真昼の空は雲ひとつなく青く澄み、太陽は明るく照りつけている。    ただ、美しい青空を、所々で立ち昇る黒煙が黒く染めていた。    陽光を受け、眩しく照らされる金髪と、生き生きとした若葉を思わせる緑色の瞳。    レオン=アルファード=セイリアスは、今年で二十七歳になる。  ひと月ほど前に、新興国(しんこうこく)アバスの侵略を退(しりぞ)けるため、前王が自ら親征に(のぞ)んだ。戦いの中、絶命した父の跡を継いで、レオンは新王となった。    そしてこのまま行けば、おそらくあと数日以内には、レオンはセイリアス王朝の、最期の王となる運命だった。
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