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さらに歩き続けると…。
「おうおう、姉ちゃんたち。ここを通りたければ金を払いな」
なんと! 二度あることは三度ある。この国はどれだけ治安が悪いのだ。
「俺たちは泣く子も黙る大山賊ヤママのメンバーだ」
「山賊? ヤママ?」
私は山賊なんて知らない。魔族ならば少し興味があったが…。一応、ミククにもヤママなる人物のことを聞いてみるとしよう。
「ミククはヤママって知っているの?」
「はい、知っています。この山の中腹に大きな古い寺院があって、そこで山賊たちが暮らしていると噂を聞きました」
「有名人なのね」
山賊たちが嬉しそうに言う。
「お前、よく知っているじゃないか」
「街の人から教えてもらったんです」
「それなら俺たちに歯向かっても無駄なことが分かるだろう。さあ、通行料を払ってもらおうか」
コイツら死亡フラグが立ちまくりだわ。私は腰に着けていた杖をこっそりと軽く振る。杖の先から竜の形の黒い炎がほとばしる。男たちは炎に包まれた。
「アチーっ、なんだコレ?」
「早く消してくれ…」
ゴロゴロと地面を転げ回る者たちもいるが、炎は決して消えなかった。
「覚えてろよー」
男たちは燃えたまま森の中に逃げて行った。
「燃えてたね」
「あれは暑さによる自然発火現象かな?」
「炎が黒かったよ」
「それは見間違いじゃない?」
う~ん、私の湧き溢れる魔力をセーブするのは大変だなあ。私たちは旅路を急いだ。
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