森の中

3/3

6人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
さらに歩き続けると…。 「おうおう、姉ちゃんたち。ここを通りたければ金を払いな」 なんと! 二度あることは三度ある。この国はどれだけ治安が悪いのだ。 「俺たちは泣く子も黙る大山賊ヤママのメンバーだ」 「山賊? ヤママ?」 私は山賊なんて知らない。魔族ならば少し興味があったが…。一応、ミククにもヤママなる人物のことを聞いてみるとしよう。 「ミククはヤママって知っているの?」 「はい、知っています。この山の中腹に大きな古い寺院があって、そこで山賊たちが暮らしていると噂を聞きました」 「有名人なのね」 山賊たちが嬉しそうに言う。 「お前、よく知っているじゃないか」 「街の人から教えてもらったんです」 「それなら俺たちに歯向かっても無駄なことが分かるだろう。さあ、通行料を払ってもらおうか」 コイツら死亡フラグが立ちまくりだわ。私は腰に着けていた杖をこっそりと軽く振る。杖の先から竜の形の黒い炎がほとばしる。男たちは炎に包まれた。 「アチーっ、なんだコレ?」 「早く消してくれ…」 ゴロゴロと地面を転げ回る者たちもいるが、炎は決して消えなかった。 「覚えてろよー」 男たちは燃えたまま森の中に逃げて行った。 「燃えてたね」 「あれは暑さによる自然発火現象かな?」 「炎が黒かったよ」 「それは見間違いじゃない?」 う~ん、私の湧き溢れる魔力をセーブするのは大変だなあ。私たちは旅路を急いだ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加