アトリエ

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街のアトリエ。店の主人がずっと入り口を見ている。落ち着かない感じだ。その男はひと差し指と中指で机の上をカタカタと叩いている。 ちょうどその時、外から足音が聞こえ、扉が開いた。扉から女の子が入って来る。 「ミクク、遅かったじゃないか?」 「ごめんなさい。アポポさん。帰り道に山賊と出会って…」 「何!」 「あっ、でもね、お姉さんと一緒だったから大丈夫」 「それは良かったな。その方は?」 「旅人らしいの。途中で分かれたわ」 「無事で何よりだ。だがな、山賊たちには私が直接話に行ってこよう。話せば分かるはずだ。奴らが話せればな!」 アポポは考えていた。ミククの独り歩きは危険かもしれない。私がずっと一緒にいられたら良いのだが、そうもいかない。使い魔に任せてみるか? ミククに似合う使い魔か…それは何だろう? 「アポポさん?」 「なんだい?」 「スイカの苗を買ってきたの。庭に植えておくね。実が生りたら一緒に食べましょ」 「…そうだな」 「スイカが大きくなるように毎日私がお世話するわ」 ミククは何て優しいんだ。邪神と恐れられ、数多の屍を築いてきた私のためにスイカを育ててくれるとは! 山賊だろうが、海賊だろうが、盗賊だろうが、ミククに近づく者は私が始末する。アトリエは邪悪な気配に包まれた。
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