ケサランパサラン

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ケサランパサラン

 物語が一区切りつき、ふうっと体から力を抜く。布団の中で丸くなって本を読んでいたせいで、首や肩、それから体を支えていた腕が痛い。  固まってしまった体を伸ばしたくて、恐る恐る布団から顔を覗かせる。耳栓代わりのイヤホンをしているとはいえ、思いのほか静かになっていることに安堵して、私は布団の中からのっそりと這いでた。  思いっきり体を伸ばしてから、布団に手を差し入れ、置き去りにしたままのスマホを引き出した。時間的には、既に朝を迎えようとしている。しかし、それにしてはカーテン越しに薄日が射していない。まだ雨が降っているのだろうか。  伝家の宝刀の威力に感謝しつつ、疲れ切った目をシパシパとさせる。窮屈な読書タイムのおかげで、全く疲れが取れていない。むしろ、目を酷使したせいで、目も頭も疲れている。雨に備えて早く寝たのに、せっかくの睡眠時間が台無しになってしまった。  やっぱり雨は苦手だ。  雨に悪態をつきながら、本を本棚へと戻すと、もう一度伸びをしてから首と肩を回す。  できることならもうひと眠りしたいが、可能だろうか。
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