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試合を終えた選手のように、頭からタオルを被り、その隙間からチラリと出窓へ目を向けた。
まだ窓は濡れていない。雨音も聞こえない。本降りになるのはもう少し後だろう。
ホッと一息吐くと、タオルを被ったままキッチンへと足を向けた。
お湯を沸かしている間に、ローズヒップのティーパックをマグカップにセットする。
まだ、お湯が沸かない。
玄関へ足早に戻り、残したままの荷物を部屋へと運び込むと、スマホだけを持って、キッチンへと戻ってきた。
白い湯気を上げるお湯をマグカップに注ぎ、色が出るのを待つ。スマホをタップして素早く天気予報の画面を立ち上げた。雨は夜になると本降りになるそうだ。
まだ大丈夫。
赤みがかったお茶と、スマホを手に、部屋へ戻ると、本棚を眺める。
今日はどれにしようか。夜から雨は本降りになるらしい。ということはそれまでに読み終わるものでなくては。
私は、本日の一冊を決めると、一旦棚から離れ、手に持っていたカップを置いた。スマホの画面をチラリと見る。
多分、ゆっくりと読書ができるのは3時間くらいだろう。
私はもう一度、本棚へ戻ると、先程決めた本日の一冊を手に、ソファに体を沈める。
被ったままのタオルが視界を狭くするが、かえって読書に集中できるだろう。
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