シトシトシト

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シトシトシト

 夕飯を作り終えると、私の周りが静かになった。窓やベランダを叩く雨音もしない。  最近では滅多にないことだけれど、これはもしや、本当に天気予報が大ハズレしたのではないか。  そんな大きな期待を胸に食卓の準備を終えて、いそいそと窓辺に寄る。レースのカーテンを捲ると、私は窓の外に目を凝らした。  室内の光を反射した窓からは、夜の姿となった外の景色を見ることは難しい。窓に鼻をくっつけて外の様子を伺っていると、次第に目が慣れてきた。  雨粒は私の目には見えないけれど、既に小さな水たまりができている。雨粒がシトシトと音もなく水たまりに波紋を作り、その範囲を広げようとしていた。  分かっていたことではあるけれど、期待を裏切られた私はがっかりしながら力任せに分厚いカーテンを引き、外と室内を厳重に分ける。  それなのに、音のない雨音がシトシトシトと、私の後をついてくるような気がして、私はパタパタパタと必要以上にスリッパを鳴らして、窓から離れ、食卓へ逃げ込んだ。  もう、天気予報を疑うのはやめよう。最近の天気予報の精度の高さは、折り紙付きなのだから。むしろ、いつが雨のピークで、いつ頃止むのかまで正確に時間を示してくれているのだから、それを頼りに、万全の対策を行うべきなのだ。
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