Highlander JK【Japan Knight】

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解剖室では環の見聞を終え警官の見聞に移ろうとした時だった遺体に掛けられた塩化ビニルシートがパサパサと音を立ててめくれ上がったのだ、居合わす誰しもが一瞬我が目を疑った遺体が起き上がるとは予想だもせず監察医と立会の警官2人その場で声も出せずに固まる。 その男は軽く首を鳴らすと何事もなかった様に全裸で3人の前を堂々と通り過ぎてゆく。 「hello that's」 3人は視線だけで男を追うと監察医の手に持つメスが落ちた、解剖室内に甲高い音が響くと男は立ち止まり振り返ると監察医に近付いて行った、監察医の脳内では医学を志した者としては受け入れ難いあのカタカナ3文字しか浮かばなかった、そしてその3文字が行う事はひとつしかない監察医は死を覚悟して男から顔を背けるだけの小さな抵抗を試みた、すると男は監察医の顔を舐め回すように見てしゃがみ込むとメスを拾い上げ優しく両手でそれを渡すと言った。 「be care!」 監察医は男からメスを受け取ると46年ぶりに股間を濡らした裾からは暖かな液体が伝い床のタイルを染めてゆく。 「oh my goodness ⋯」 男はそれに気付いたのか別の意味があるのかそう言い残し解剖室を後にした、遅れて金縛りが解けた警官2人が動き出すと後を追った。
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