第一噺 犬の顔

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 やがてBさんは高校生になったが、モコの世話は当然のように続けていた。  モコも大きくなり、力も増していったため散歩の時に引っ張られると力負けしそうになる場面が段々と多くなってきていた。  このモコという犬は、好奇心旺盛なため道を歩いていると興味を持ったものに向かっていってしまおうとする。  彼女の実家は田舎だったため、田んぼ道などを歩いていると田んぼの中にいる鳥や遠目に見えたキツネやタヌキなどに向かってモコは走り出そうとするのだ。  田舎という事もあり、道の交通量は多くは無い。  だがまっすぐで開けた道はスピードを出したくなるようで、通る車はどれもひやりとするようなスピードで走り去っていく。だからBさんは、なるべくリードを短く持って、モコの動きを御しやすくして散歩していた。
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