帰省

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 藍は俺のいとこだ。  ただ、伯母が結婚した相手の連れ子だったから、血の繋がりはない。  伯母が結婚し、いとこになったのは、お互いが中学生のときだった。  2つ年下の藍はそのころからどこか大人びていて、時々どきりとするほど冷めた言葉を口にしたりした。同級生の女子とはまるで違うその雰囲気は、大人になってみれば、親の離婚という重い出来事によってそうならざるを得なかったのだとわかる。それでも、そのころの俺には藍が輝いて見え、惹きつけられて仕方がなかった。  高校生になるころには、俺は藍を異性として見るようになっていた。  藍も、それに気づいていたが、俺を避けることはなかった。――多分、お互いに想いあっていたと思う。そしてそれは初恋だった。  だが、それを感じとった俺の父とその姉……藍の義理の母、は拒絶反応を示した。無理もない、血縁はなくても『親戚関係』であることは変わりないのだから。  法律で婚姻が許されている、いないということではなく、理屈でないところで受け入れられないのだと、はっきり言葉にはしないまでも暗に――明確に反対された。  
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