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ツンデレな猫
──サニーは彼女が拾ってきた猫だ。
雨の日に脚を滑らせたのか道路横の側溝にはまって動けなくなっていたのを彼女が助けそのまま家に連れて帰って来たのだった。雨と泥まみれだった為、風呂場であらってやると真っ白なフワフワした毛に戻った。首輪をしていなかったので、ひとまず家で飼おうということになった。
彼女は猫に『サニー』と名付けた。
なぜ『サニー』なのかは何度聞いても教えてくれなかった。
彼女はサニーをとても可愛がっていた。サニーも彼女になついた。
ボクには全くなついてくれなかったけど……。ボクには“ツン”で彼女には“デレ”な猫だった。
そんな二人と一匹の生活が続いていたある日の昼下がりだった。その日は前日から雨が降り続いていた──
「買い物に行ってくるね。サニーをよろしくね。」
「オッケー。行ってらっしゃい。雨だから気をつけてね。」
そう言ってボクは出掛けて行く彼女を手を振って見送った。
「ん?サニーをよろしく??まっ、いいか。」
買い物に行くときまでサニーの事が好きなのだなぁとその時は気にもとめなかった。
──それが彼女の別れの言葉とも思わずにいた。
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