100人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
ザーザーと、遠くの方から聞こえる雨の音。
ボトッ、ボトッと、規則的に鼓膜に響く屋根から落ちる雫の音。
「高瀬、…俺、こういうの、初めてで。格好悪くてごめん。」
「…」
傘に落ちた雨の影が一ノ瀬の頬に映って…まるで涙が流れているみたいだった。
私の傘の青色に染まった空間で、一ノ瀬がゆっくり口を開く。
その光景が、すごく綺麗で…私、この瞬間を一生忘れたくない、と思ったんだ。
「俺…高瀬のことが、…ーーー」
最初のコメントを投稿しよう!