シュガー・レイン

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シュガー・レイン

「この雨が、ぜーんぶ飴玉だったらどうなるのかな」 「うーん、普通に痛いんじゃない?」 どんよりした灰色から滴り続ける雫を見つめて、ふと溢されたバカな言葉に、笑うことなく返ってきた正論。 「じゃあ、砂糖だったら?当たっても痛くないよ?」 「ふふ、全身ベトベトになりそうだから俺は嫌だな」 「あー、たしかに。」 微笑んだ拍子に頬にまつ毛の影が落ちる。彼の綺麗な横顔に、私は見惚れながら、なんでもないように声を出した。 「みんな雨嫌いって言うから、何ならみんな喜ぶかなって考えたけど、うーん、結構難しいね」 「雨は、雨でいいんじゃないかな?」 「そう?」 「うん、俺は…雨、好きだよ。」 「っ、」 突如、一ノ瀬がこちらを向いた。その瞬間、心臓が飛び出るかと思った。 「…わ、私も…好き、雨。」 …だって、雨は君との時間をくれるから。
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