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「ふう」
リンジィは宇宙艇の操作卓に頬杖をつく。
「星間開拓船の乗組員が奴隷みたいに扱われていたって記録がいくつもあったよ。ラズロは……」
「そんなものピンからキリまでさ。俺は操縦士になれたし待遇の良い船に乗れた。そうでない連中もいただろうけど、先生がいなければ俺たちは廃棄地区で獣みたいに喰らい合ってただろうよ」
「あのプログラムで本当に良かったのかなあ」
「リンジィらしくもねぇ。良いんだよ、あれで。俺は先生に言ったとおり感謝しかねぇんだ。それよりこの耳飾り何とかしろ」
「ラズロの二次元的なお顔を縁取って半永久的に輝き続けるよ」
「要らんわ!」
ラズロが地団駄を踏んだせいで宇宙艇の内装は心もちへこんだが、この日も何事もなく過ぎていった。
【完】
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