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ダーヴェルとルラスヴァン (ルスヴン)
1816年、スイス レマン湖のほとりにあるディオダディ荘で、退屈しのぎに怪談でも書こうという話になり、メアリー・シェリーは『フランケンシュタイン』を、バイロンの主治医 ポリドリは『吸血鬼』を、バイロンは途中まで書いたが断念してしまった。
私は、この話が好きで、夏休みにポリドリの『吸血鬼』を夢中で読んだものでした。長らく日本語訳が見つからず、困っていたのですが、今年の5月、東京創元社さんから『吸血鬼 ラスヴァン 英米文学古典吸血鬼作品集』が出版され、翻訳で読めることになりました。のみならず、ポリドリにバイロンの着想を与えたバイロンの断章(今回は『吸血鬼ダーヴェル』のタイトルで収録されています) や、同じくかつて夢中になった『吸血鬼ヴァ―ニー』の翻訳も読むことができました。
それでわかったことなのですが、バイロンと喧嘩をして別れたポリドリは、そうでありながらもバイロンの『吸血鬼』の続きを書いたようなのです。
『吸血鬼ダーヴェル』でダーヴェルが友人に立てさせた誓いの日数は「月の9日目」、対するポリドリの『吸血鬼ラスヴァン』では1年と1日。『ダーヴェル』では誓いの場面で終わっていますが、『ラスヴァン』ではそのあと、ラスヴァンが蘇っています。そして、「誓いを忘れるなよ」の声が効果的にオーブリーの耳や胸に響くのです。
望月淳さんのコミックとアニメ 『ヴァニタスの手記(カルテ)』ではルスヴン卿が催眠のようなものをかけるとき、「今の誓いを忘れるな」と言いますが、望月さんはこのセリフを取り入れたのだと気づきました。
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