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幽霊
俺は怒りのままにゴキ男さんを探した。一言いわずにはいられない。今度こそ俺はあいつにかましたる。
俺の名は、はわたーーり、つ――!
左腕を腰に当て、右腕を大きく時計まわりで12時の方角まで回したところで、龍神が再び語り出した。ヤバイ、またあの秒速カップリングタイムが始まる。こうしてはいられない。俺はフルスピードで辺りを見回す。
居たっ、きゃわいい子ちゃん!
『は~い、次のメニューです――』と龍神が言い掛けたところで、突風が吹き始めた。方々から悲鳴に近い声が上がっている。出店の商品が、屋根が吹き飛ばされ、見ると鶏の神様はちゃっかり寧々ちゃんに抱きついている。奴の嘴は寧々ちゃんのふくよかなお胸の辺り。怖いよ~ママ~と泣き叫ぶように顔を左右に揺すってスリスリモード。
し、しまった~、その手があったか!!
だ、伊達に神様の称号もらってる強者だけはある。奴、デキるな!
俺は咄嗟に時姫神社の境内の脇、竹藪が鬱蒼と生えた暗がりにポツリと突っ立っている和風美人にロックオン。しかも和風なお顔に反して立派な洋館で女中でもしていそうなレトロなメイドのコス、もとい服装、最高っす!
『皆様~、緊急事態が発生しました。出禁の台風様がどうやら性懲りもなく来たようです。つきまして私はキャツを追い出してきますので、はい、カップリング、1、ゼロ!そこまで!!暫く雑談タイムよろ』
で、でかした台風様!
龍神の奴、相当焦ってやがるな。雑談タイム、やっとコンパらしいメニューじゃんか。
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