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時姫様
「ゴキ男さん、私ずっと逢いたかったですワ」
「ゴキ子、リボン凄く似合ってる」
「先日、ディズニー行ってきたんですの」
「君に出逢ったのは、そう一万年前だったな。あの頃はディズニーなんて無かったが昨日のことのように覚えている。俺はグラサンを掛けてビーチで本を読んでいたんだ」
「私が何を読んでいらっしゃるのって声を掛けたんですのよね」
「嗚呼、そうだった」
「あなたは相変わらずハンサムですワ」
「ゴキ子、否、時姫、そなたも相変わらずお美しい」
「そのような名で呼ばれていた時もございましたわね」
「あれから幾星霜――」
と、時姫???
『と、時姫様ーーっ!!老いたはしや、そのような姿に身をやつし』
「おい、龍神、まさかと思うが」
『お察しの通り』
「お察しの通り?」
『彼女こそがゴキ界のアイドル、ゴ~キ子ちゃん』
「テメー不二子ちゃん的なノリで言ってもゴキはゴキなんだよ。それよりも俺が訊きたいのはそっちじゃねえ!アイツまさか時姫なのか?」
『な、わけあるかいな』
「たったいま時姫っつって絶叫してたじゃねえか」
『雰囲気作りですな』
「だ、だがゴキ男さんは時姫って言ってるぞ!?」
『渾名でしょう』
「ア“!?だったら一万年振りにとか言ってたのはなんなんだ?」
『そんなに生きれるわけあるかい。再会ノリってやつでしょうな』
な、ゴキ男が一番ノリがアホじゃねえかよ。俺はどっと溢れた疲労を感じながら焼き鳥をパクリと一口。出店が並ぶ境内、田中彰こと龍神が台風様を追いやったおかげか嵐は綺麗におさまっている。
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