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「ちわっす。此処俺の部屋だと思いますがお宅様は……?」
「おいおい青年、初対面の人に話し掛ける時はまず名乗ってからって母ちゃんに教わってないのか?最近の若いもんてのは礼儀も知らない」
ギロリと睨まれた。
それもそうだ。人なのか、壮絶に気になる箇所はあったがお邪魔しているのは俺の方で、言われた通りに名のっ――否、待て待て、お邪魔しているのはコイツで、そもそも無銭宿泊&不法侵入だろ!!
こんの糞ゴキめっ!危うく騙されるところだった。こんなヤツには一発かましてやるしかない。俺はヒーロー戦隊の変身シーンの如く腕をグルっと回した。
「俺の名前は、はわたーーり、つと~む!!」
どうだ!かましたったぜっ!
「そうか、勉か!で、見てくれ傷心旅行ってところか?」
「わ、わかるんすか?」
「当たり前だろ!」
コイツ、デキるな!!
俺が決め台詞「はわたーーり」を名乗るまでの隙に、既に傷心旅行と見破るとは!
「お、お名前は?」
「ゴキ男でいいぞ」
「ゴキ男さんですか!」
「嗚呼」
「よ、よろしくお願いしますっ」
90度に腰を折って挨拶する。そう言えば母ちゃんに良く言われてたっけか「勉、目上の人には礼節を重んじるのよ」って。
「おう、やれば出来るじゃねえか」
「もちろんす!」
てなわけで、俺たちは意気投合した。
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